バイキンマンについて考える 2

バイキンマンの行動原理について考えてみた。
彼は誰かが楽しそうにしていたり、感動していたり、美味しいものを食べていたりすると、それを不満に思い、ぶち壊しにかかったり、強奪を試みたりする。
することは全て「オレサマ」のためであり、他人のためには何もしない。
「オレサマ」を見てほしいのだ。
「オレサマ」をいつも最優先してほしいのだ。
特筆すべきは、彼はアンパンマンのことを「おじゃま虫」と言う。
「やめるんだ、バイキンマン!」
「出たな、おじゃま虫!」
お邪魔虫はおまえだろう、と誰もが思うが、ことほどさように世界認識というものは必ず自己中心的であり、またその意味で常に相対的なものである。 

しかしバイキンマンはこれほどのエゴイストであるにもかかわらず、邪悪の印象を与えない。
何と言ってもあの笑顔はかわいい。
まどかもバイキンマンが好きである。
ふと、つまりこれは人間の心の芽生えを擬人化したものなのだと気が付いた。

まどかを見ていると、子供として当たり前のことだが、とても自己中心的である。
常に、とは言わないが、非常に多くの場合において、自分が最優先され、充分な注目と配慮が向けられることを望んでいる。
言うまでもないことだが、その求めは邪悪ではない。
ねじくれた、または病的な要求でもない。
人生の初期における、命のありのままの、自然の発露なのだ。

だからこそなのだろう。
バイキンマンが「オレサマが〜」と叫ぶ時、私たちには見た覚えのあることを、身に覚えのあることを思い出すのではないだろうか。
それが彼に対する、言葉にするまでもない赦しの源にあるのだろう。
そんなことを思った。






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