和歌1

暇だったので、どれくらい覚えているだろうかと和歌を書き出してみたところ、110首ほども出たので満足した。
良い歌は時代を超えて胸を打つものがある。
私は特に万葉集(759年)が好きなのだが、なぜかと言うと、心情表現が率直で、気持ちが良いからである。
それより後の古今和歌集(905年)になると、重く、湿っぽく、癖があり、作為的で、あまり面白く感じられない。
勿論、その中にも名歌はあるが。

万葉集には例えばこんな歌がある。

・帰りこむ人来たれりと言ひしかば ほとほと死にき君かと思ひて
(あなたがいよいよ帰ってきたと聞いて、嬉しさの余り死ぬ所でしたわ)

これなんか、かなり好きである。
万葉集にはこういう感じの直球の歌が多くて、思わずほほえまされる。

・信濃なる千曲の川のさざれ石も 君し踏みてば玉と拾はむ
(千曲川の石ころも、あなたが踏んだものなら私には宝物です)

これもいい。
ちなみにこのような感情は東西共通であるらしく、アイルランドの古歌にも同様の表現を見つけたことがある。
The Corrsの素晴らしいアレンジがある。

胸を締め付ける悲しい歌もある。
万葉集には、兵役に取られた平民の嘆きの歌も収録されている。

・父母が頭掻き撫で幸(さ)くあれて 言ひし言葉ぜ忘れかねつる
(無事でな、と頭を撫でで両親が言ってくれた言葉が忘れられない)

息子を送り出す両親の胸の痛みが伝わってくるようである。
しかし私の立場としては、子供を置いて出立する男親に、さらに心を寄せてしまう。

・唐衣(からごろも)袖に取り付き泣く子らを 置きてぞ来ぬや母なしにして
(袖にしがみついて泣く子供たちを置いてきた。母もいないのに)

しかも子供たちには母親もいなかった。
父子家庭だから兵役免除、なんて発想は、この時代にはなかった。
どうなったのだろう、その後、子供たちは、と思うと、心穏やかではいられない。
つい、まどかだったら…重ねてしまう。

続く

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