子供に諺を仕込む
そろそろまどかの教育を始めよう、と思った。
4歳。知的能力は既に開花を始めている。
そこで諺を覚えさせることを始めた。
どうやったら促せるものかと思ったが、全く難しくなかった。
「犬も歩けば棒に当たる。言ってごらん?」と誘いかけると、何度か繰り返した後すぐに復唱出来るようになった。
もう少し成長した後では「ああ、うるさいな、また親父が何か言い出した」となるのだろうが、そんな反発心は今はまだ芽生えていない。
今の内に、父親とは言葉遊びをするものだ、という土壌を形成しておく。
すぐに復唱することの楽しさに気付いたようで、私が教える諺を次々と覚えていって、その数、十に及んだ。
子供の心は具象の世界に留まっている。
だから動物が出てくる諺は覚えやすい。
猿が木から落ちたり、犬が棒に当たったり。
一方、概念で成り立つ諺は覚えにくい。
後者の諺はもう少し時を経てから試みるが、「楽あれば苦あり」は覚えさせることが出来た。
子供に、色々と言って聞かせなければならないことがある。
そんな時「楽あれば苦あり」の一言は、魔法のように働くことだろう。
その効用があればこそ、先人たちはこの言語的遺産を私たちに伝えてくれた。
子供はただ純粋に、新しく初めて知ることを楽しんでいる。
諺を教えることは、初め、私にとって教育意図を持ってのことだったが、子供はそれを、口の中で動かすおもちゃにしてしまった。
こうして二人で遊べる新しいおもちゃが出来た。
やがて教える題材が故事成語になり、和歌になり、祝詞になるかと思うと今から既に楽しみである。
アンパンマンミュージアムに行く道々も。
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