13 贈り物1
息子の誕生日が近い。
去年同様、一年間を振り返る動画を作った。
私はちまちまとそういうものを作るのが好きらしい。
おまけに気が早いので、誕生日のまる一ヶ月前に完成させてしまった。
誕生日までの1ヶ月の間にもっと良い写真や動画が撮れてしまったらどうするつもりなのだろうか。
このせっかちは親譲りで抜けない。
でも自分の可愛い所だと思って許している。
私の育った家には、プレゼントの習慣がなかった。
頼めば何でも買ってもらえた。
でも三人も姉がいる上に、末っ子の長男は妬まれ役なので、いつも遠慮が勝って、なかなかおねだり出来なかった。
お願いすれば与えてもらえることと、諸々の時間の区切りに際してプレゼントしてもらえることは、似て非なるものだと思う。
前者は「欲しいものを買ってもらう」という達成に過ぎないが(と言ったら言いすぎかもしれないが)、後者は「贈り物をもらう」という体験なのだ。
後者には何か神聖なものがある。
「あなたにはきっとこれがいいと思って選んだよ」という配慮が源にある。
親からそういうことは余りしてもらえなかったが、有り難いことに、この仕事を始めてからというもの、お客様方から本当に沢山の贈り物を頂いた。
「河邊さんのイメージかなと思って」という言葉を何回聞かせてもらったか分からない。
そうやって私のことを思って、「これでいいだろ」ではない「きっとこれがいい」という思いを伝えてくれた。
とても長い時間がかかったけれど、そういう体験の積み重ねが、「贈り物」の価値を私に教えてくれた。
今年、私もまどかに対する「きっとこれがいい」がある。
そんな思いで、誕生日プレゼントを求めに出かけた。
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