17 子供の心
息子とサッカーをした。
とても楽しそうだった。
それは家まで送りに行った夕方のこと。
別れた妻と立ち話をしている間に、サッカーが始まった。
このサッカーボールは去年買ったのだが、インドア派の彼は全然興味を示さないので、ほとんど使われることもなく、いずれかの機会に、ということで車に載せておいたままになっていた。
玉蹴りをしながら思った。
お母ちゃんに見てもらうことで、こんなにも活発になるものなのだ、と。
私が「サッカーをしよう」と言っても、彼は乗ってこない。
しかしお母ちゃんが見ていると、いつまでも飽きることなく続ける。
心から楽しそうに。
いつまでもサッカーをしていたかったが、どうしても時間が迫ってきて帰らなくてはならなかった。
その時、私はヘマをした。
そろそろ行かなくてはと言うと、流れるようにボールを片付けて車に乗り込んだ。
「じゃあ」と言ってまどかを見ると、瞬きを忙しくしていた。
子供の心が変化についてくるより速く動いてしまったことに気付いて反省して、車から降り、もう一度改めてゆっくりお別れの挨拶をやり直した。
こんな時、私は自分が、どんなに忙しい、心よりも頭を優先して動いている「大人」なのかということに気付く。
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