26 かわいくない
息子はしばしば、私にとって不快な態度を取る。
「焼きそばを食べたい」と言い、作ると一口しか食べない。
「工作しよう」と言い、自分はテレビを見て私に作らせる。
そして作り終えると、一瞥してテレビに戻る。
何か誘いかけると、「なんで?」と言って全く応じない。
かわいくない。
こういう時、活性酸素が体内に満ちるのを感じる。
以前、私はこういうことは正しく躾けられないといけないと思った。
でも共に過ごす乏しい時間的制約の中で、平素の暮らしと逆行的な躾を施すというのは、普通に考えて無理である。
それと重要なことに、慎重な観察の結果、私といる時に、とりわけこの傾向が助長されているらしいことが分かった。
それで、私はこういうことについては何も言わないことにした。
と言っても仏ではないので、「あっそ。勝手にしな」くらいの呟きは出る。
でも、もっと深い所の流れを見るようになった。
多分これが今の彼にとっての父親との交流の仕方なんだ、と考えるようになった。
普段一緒にいられないので、甘えたり無理を言うことで埋め合わせ、それで絆を確かめているのかもしれない。
逆に、私が躾が大事だという考えに固執して、厳しい顔を見せていたら、たまにしか会えない上に叱られるのか、と子供は思うだろう。
今できないこともいつかちゃんと出来るようになる。
そう信じ続けることもまた、自分に出来ることなのだと思う。
コメント