38 子供の遊び
心理学者のユングは40代の頃、人生の危機にあった。
一般的に、40代は危機の時代であるらしい(特に男性)。
それまでに通用していた方法が通用しなくなり、変容を求められる。
しばしばそれは暴力的な形でやってくる。
ユングは無意識から新しい力を引き出すことによって危機を乗り越え、探求者としてより高度な水準に達することに成功した。
それに際して、彼は自身の子供の頃の遊び―石で建物を作る―を利用した。
単なる暇つぶしやストレス発散ではないこのような遊びは、無意識を活性化する作用を持っている。
私もまた、この数年、同じ人生の危機に直面していた。
出来る限りのことはし終え、心身共にすでに概ね健康を回復している。
しかし変容のためにはまだ何か足りていないことがあると思い、ユングの例を思い出した。
それで子供の頃の遊びを始めた。
それが何であるかは、秘密にしておく。
この種の遊びは、ユングもそう書いているのだが、非常に着手するのに気が重い。
理性が止めてしまうのだ。
簡単に言えば、こんなことをして何になるのだ、いう思い。
他人が聞けば、へえ、そうでしたか、という程度の反応にしか至らないかもしれないが、40代に入り、れっきとした仕事も家庭も持つ男性が、逼迫や窮乏や四面楚歌の状態で、石ころ遊びをして道を切り開くなどということは尋常の沙汰ではない。
薄々、それが必要なのだと感じても、取り掛かるのが難しいのも頷ける。
私もまた、こんなことをやっても、と思っていた。
でもその遊びに対するひそかな憧れは、ずっと以前から自分の中にあったことに気付く。
私はずっとそれを無視してきた。
そしていざ始めてみると――本当に、心が力を取り戻しているのである。
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