62 人の心が改まる時
人の心は変わるものである。
子供と暮らせないことは、以前悲しみの種だった。
今はそうではない。
と言っても、情が失われたのではない。
これで充分、と思うようになったのだ。
よく、心理テストで、「コップに水が半分入っています。半分も、と思いますか。半分しか、と思いますか」というようなのがある。
まさに解釈の問題なのである。
以前の自分には、月に数日しか子供に会えないなど考えられないことだった。
でも今は月に数日も会えるのだからいいか、と思い、その数日の内に良い影響を与えてあげられたらいいと考える。
こういった考えの反転が辿られるためには、どうしても苦しまないといけないのだと思う。
苦しまずに学べたらいいが、そう利口ではない。
学ぶ前には、苦しむくらいなら学ばないままでいい、と考えがちだが、学んだあとでは心は一変し、学べて良かったと思う。
この時、苦しみに対する大肯定が心に起きる。
キャレブ・ワイルドという葬儀屋が書いた本があるのだが、その中から一節を思い出した。
「じっと上を見上げていると、どん底体験というのは実は山頂体験であることに気付くものだ」
この心を携えて、次はどこに行こう、という気持ちになってくる。
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