65 速度を落とす
誰よりも食べるのが遅い。
以前、食事中によく口の中や舌を噛むことがあった。
無自覚の自傷行為。
本当に愚かなことだと思う。
噛むだけでも辛いのに、傷口が今度は口内炎になって10日くらい不快な思いをする。
体のメッセージに虚心に耳を傾け、これを解釈するならば「もっと口の中の動きに注意深くなりなさい」だと思う。
そこで1年か2年ほど前から、殊更にゆっくり食べるようになった。
全く口の中を噛まなくなった。
お馴染みの口内炎もすっかり出来なくなった。
口内炎の出来ない人生は、快適である。
併行して他にも色々なことがゆっくりになった。
何が先で何が後かは分からないが、とにかく人生全体が速度を落とすようになった。
例えば腹が立ったり苛立ったりした時も、それをゆっくり観察できるようになった。
昔のように瞬間湯沸かし器みたいな反応はもうしない。
「口の中に気を付けなさい」というのは、同時に、「言葉に気を付けなさい」でもあったと思う。
色々な意味で、口は災いの元である。
速度が速いのと遅いのと、どちらが良いかというと、遅いに越したことはない、と今の私は考えるようになっている。
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コメント
コメントありがとうございます。
ネットですぐ答え探しは現代人の落とし穴ですね。結論から言うと、これはあまり良くないです。もっと深いですからね、何もかも。こうして知らず知らずに巻き込まれてしまうわけです。
良い投げかけを頂きました。