72 子供の心の美しさ
朝、ストーブを焚いた。
寒いので手をかざしなさいと子供に言った。
しばらくすると「指がかゆいよ」と言い出した。
何だろうな、と暫く思案して、気付いた。
温めて、血行が良くなって、痒くなるという現象だ。
そして、そんなことは自分にはもう起きないことに気付いた。
こんな時、この体が、長年の使用を経て鈍感になっていることを改めて知る。
子供はまだ5年しかこの星の上で、人間という生物をやっていない。
だから色々なことが新鮮で、未知で、活気に満ちている。
どうして同じ時間でも冬の朝はまだ暗いのか?
どうして太陽は西に沈むのか?
子供は不思議に思う。
「じゃあ、秋に戻ってもらう」
春、夏を経ないと次の秋が来ないことも、まだ知らない。
アマゾンから配達が届いた。
「おもちゃかな」と子供は言う。
「いや、それはない。そもそも注文していない」
「でも、見てみようよ」
こんな具合である。
何とまばゆい心だろう、絶対にあり得ないことなど、子供の世界にはまだないらしい。
開けてみると、オリーブオイルであった。
「なあんだ」と言って、もう他のことに考えが移っている。
子供は世界と接している。
実際、子供と世界を隔てている厚みは、皮膚の薄皮一枚分くらいのものではないだろうか。
でも最近ふと、私は、自分がそういう心に近付いていること、立ち戻りつつあることを、実感したことがある。
青空を見ていたら、その美しさに知らずに涙が浮かんできた。
間に何も挟まずに、心が空に接しているように思われた。
明日は双子座満月です。
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